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CartoLeO

アラカルトレオの杉崎です。制作活動/舞台感想のはきだめ

ナルトという役者について

ナルステの松岡ナルトを中心に、ナルトについて思ったこと。

 

前回のナルステ全体の感想はこちらから。

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」再演を観てきました - CartoLeO

 

※ナルステは1幕、2幕の二部構成。1幕がイルカ先生〜波の国編、2幕がサスケ奪還編となっています。

 

ナルトって、最初はバカでわがままでお調子者で、でも物語が進むにつれまっすぐで意外性ナンバーワンで仲間を大切にするところも見えてくる。2部では英雄の風格も出て、自分が何をすればその場にとって最適か、を本能で感じ取ってるようなシーンもある。そんなキャラクター、要は主人公なんですよね。

でも私、主人公だけどナルトが好きじゃなかった。どちらかというと少し嫌いでした。

だって行動が直線的で短絡的だから。話が通じないから(終末の谷の辺りで詳しく)。サスケにとって間の悪い男だから。

 

ナルステは、ナルトが封印の巻物を盗んだことをミズキ先生が火影様に報告するところから始まります。ミズキ先生と対比するようにナルトを受け入れようとするイルカ先生。ナルトにとっては初めて人を、そして自分を信じさせてくれた日となります。ナルトはその経験をきっかけに誓います。里一番の忍者になって、里のみんなを認めさせてやるんだってばよ!」

 

オープニングダンス(最高)

 

その後、アカデミーでのサスケと、そして七班と出会います。初演よりもたっぷりと時間をとった、ナルト(ラーメンと火影)・サスケ(クールで復讐者)・サクラ(恋しか見えない女の子)そしていきなり「(3人のことは)嫌いだ」というカカシ先生の自己紹介を介して、舞台はさっそく波の国へ。ナルトは波の国忍者からの襲撃①に対し、サスケに庇われるだけ(1度の失敗)。→次の襲撃者、再不斬との戦い②ではカカシに「俺の仲間は絶対殺させやしないよ。」と言われる。そして仲間を必死に守るサスケの腕をかいくぐり再不斬に宣戦布告。サスケと初めて協力する。再不斬に不戦勝。→木登り修行。サスケと競っている。→森のなかで仮面を外した白と会話する。「人は大切な何かを守りたいときに、本当に強くなれるものです。」「うん。俺はそれもよくわかるってばよ。」→(再不斬と白が襲撃開始しようと立ち上がる。)→七班とタズナが再不斬と白に襲撃される③。白・ナルト・サスケは奥の壇上、再不斬・カカシは手前のステージと分かれることで2つのグループの距離を感じます。→白戦。サスケがお前は死ぬなと言い、倒れる。それを看取ったナルト「許さねえ。殺してやる!」白の仮面の下の顔を見てようやく冷静になる。白の独白。白を、人を殺すということを本気で考えるナルト。→再不斬戦。白が再不斬の盾となり死亡。再不斬「俺はつくづくいい拾いもんをした。」ナルト「お前みたいに強くなったら、みんなそうなっちまうのかよぉ。」ナルト「忍は、道具としてしか生きられないのかなあ…。」カカシ「忍って奴はみんな、知らず知らずそのことに悩んで生きてるのさ。」ナルト「俺は俺の忍道を行ってやる!」→サスケとサクラ、そして大蛇丸登場(どうでもいいことですが私はここで毎度しゃくり上げながら泣いています)。一幕終了。

 

舞台だからっていうのもあるとは思うのですが、ナルトが原作よりも判断ができて、割り切れる大人で、迷いがないんです。サスケが、①波の国の刺客と②1度目の再不斬の襲撃のとき、動けないナルトをぶん投げて敵から遠ざけたりと、かなり仲間思いな行動をするんです。それに対して、ナルトは①最初は何もできないけど、それを踏まえて反省して(対再不斬で)②行動できるんですよね。で、ここが初演とも少し違う。②再不斬戦でも少し怯える様子があったのが、再演では戦況を上手く読み取っていたと思います。

実は再演大阪公演で、子どもたちは初演よりも幼く演じているのかな?と思ったんです。声が少し高くなってたり、サクラちゃんのはしゃぐ様子だったり、ナルトは上記のように少し頭の回転が速い様子でしたが笑、総じて子どもだった。サスケくんも素直な動きをしていた。

だけど東京公演、彼らはそのちぐはぐな印象を全部ひとまとめにしてきた。上に書き出しました1幕の、ナルトの行動理由がよりわかりやすくなっていた。

原作の2部では、「仲間が殺されたから、敵を殺す」という敵の意見を否定しています。でも、少なくともナルステ(1部)のナルトは、仲間が殺されたから相手を殺してやるって、思ってる。それで結局白を殺すことはナルトはできないのですが、この経験が2部の敵の心情がわかるぜ、わかるけど俺はそうは思わない、っていう確固たる姿勢に繋がったのかなと、舞台を観ていたら思いました。

 

 

さて、2幕。波の国へ行ってからライバル意識ともまた違うすれ違いをするナルトとサスケ。お互い、いや、仲間に助けられたという現実を、どう落とし込めばいいかわからない、そんな感じに捉えました。青臭くて甘い。サクラはそんな2人の様子にやきもきします。ここでスポットは当たってないのだけど、サクラがナルトに「あんたサスケくんに何したんだか知らないけど謝るなりなんなりしなさいよ!」と促してナルトも「ええ〜」と思いながらサスケの方を見る。と同時にサスケもこっちを見ていたので咄嗟にお互いフン!とそっぽを向く、という描写があって細かくてかわいいんです。小学生か(※だいたい小学生)。あと、寝坊してブローを諦めた乙女の髪の毛が初演よりもたいへんボサボサで思わず笑ってしまった。

七班は一時的に個人修行のためバラバラになります。サスケはカカシが、ナルトはオープンスケベなガマ仙人をそれぞれ師として。下手へはけるテンションの高い蛙師弟。

そして木ノ葉崩しと我愛羅戦が交錯します。我愛羅とサスケが戦っていたところにナルトが参戦。ここ、我愛羅の見せ場で、2幕前半のメインと言ってもいいと思います。立ち位置は手前のステージ上手側。初演の須我愛羅*1はひたすら気狂いで動物的であったのに対し、再演の我愛羅は立ち振舞がクール(戦闘中に背筋を伸ばしたまま腕を組む様子など)でサンドアートの映像投影、その後の我愛羅の気の狂い方(母さんとの対話)など原作リスペクトを感じる仕草がたくさん見受けられました。戦闘の終盤、2人が奥の壇上に移動しているところに戦いの長さを感じます。殴られても飛ばされても諦めないナルトに恐怖する我愛羅、拳を交わして理解し合う2人、大切なみんながいるから頑張れると断言するナルトにハッとしたように「もうやめだ。」と我愛羅は一言。この後我愛羅はナルトに手を貸すのですが、そこまで時間経過があった原作に対し、ナルステの我愛羅はこの場で納得する、物分かりがよくて素直な人物となっています。だからこそ孤独に進もうとするサスケと我愛羅という人物がより重なりやすく、なぜ我愛羅がナルトを助けるのか、がわかりやすくなっていたように思います。

そして、皆さんお待ちかね、彼の回想シーン、幻影のイタチ兄さんとの濃厚な兄弟エアリアル*2に入ります。そうして強くなっていくナルトに対する複雑な思いと兄への復讐心を同時に抱き、サスケは里を抜けます。サクラの強い想いを受け止めた上でなお里を抜けるサスケは、強い決心をしたからこそできた余裕で、元々持っていたサクラへの優しさを体現しています。ナルステのサスケ、本当にやさしいんだよ。カカシに「嫌いだ」って言われたときちょっと落ち込むし、波の国ではナルトをかばうし、サクラにきちんとうざいよって言ってあげるし、ありがとうも言ってあげる、相手のことを受け止めて、自分の思いを伝えることができるいい子なんです。…佐藤流司はすごい(バレたかもしれませんが私は原作ではサスケが好きです)。それとサクラについて、このシーンだけじゃないのですが、伊藤サクラは基本的にサスケくんにくっついて回るわ男勝りだわ*3勝ち気でわがままだわ、原作のサクラちゃんそのままなのに、どこをとってもかわいい。かわいさとかっこよさと頭の良さ...etc. 完璧なバランスで成り立っているなんとも魅力的なキャラクターとなっています。

話がズレましたが、舞台は木の葉の里に戻ります。ナルト+八班(キバ・ヒナタ・シノ)+十班(シカマル・いの・チョウジ)にサスケ奪還の名が下り、ここでようやくアカデミー同期たちの殺陣が観れます。私は初演の十班に対して気持ち悪い執着があるので十班については後々書き足したいと思いますが、とにかく、八班の3人がたいへん格好良かったです。飯山キバは重心が落ちていて、ポーズがどれも見応えがあるし、高橋ヒナタは初演DVDの練習風景からは想像も付かない程忍者になってた。元々バレエなどやっていたらしいので体幹ができているんでしょうか、他のキャストも筋肉がついて初演の間もどんどん動きがよくなっているのを感じていたのですが、ヒナタの殺陣の見応えはかなりありました。シノなんか台詞が増えてたし(…)アクロバットな動きも加えられてて、総合的なパワーアップを感じます。

八班が脱落→十班が脱落→カブトに苦戦するナルトのもとに我愛羅とリー(再演から参戦)が集います。カブトの殺陣も美しく見応えがあるのですが、残念ながら再演では少々出番が削られていました。

我愛羅→カブトら音の忍と敵が移り変わり、ついに里を抜けたサスケと対峙します。サスケに終末の谷で追いつく直前、壇上下手側に立つサクラの「ナルトへのお願い」そしてステージ上手側にいるナルトのダンスの形で表現されるサクラへの返答、決心のシーンがあります。ここで流れる音楽はオープニングを短くしたもので、ナルトが最初と同じよう決意をするシーンだということがわかります。ただ、はじめは信頼する仲間がイルカ先生だけだったのに対し、今は仲間が増え、その内の1人を追うという状況に変わっています。その行動原理は火影になるという目標、そしてそれを達成するためには自分の言葉(エピローグでサクラに「サスケはぜってぇ連れ戻す」と言っていた)を曲げないという手段。時間経過、つまりナルトの成長が伺えます。

しかし成長したのはナルトだけではない。ついにナルトとサスケの戦いがはじまります。が、このシーンについて書くには体力が保たないので、最後少しの捕捉のみに省略します。

 

エピローグ、怪我をしたナルトは里に戻り、そこで自来也に自分の意志の強さを証明します。これから強くなるために修業をする、その目標と理由を明確にして。サクラはカカシに、「今度は私も一緒に」サスケくんを連れ戻しに行くため、自分は医療忍者になると宣言をします。

「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。それが俺の忍道だってばよ!」

「オレが木ノ葉隠れの里の、うずまきナルトだ!」

 

〜オープニングダンスの曲〜

 

舞台上に次々と現れる各キャラクターたちとの出会い、別れ、そしてカーテンコール、じゃじゃじゃじゃっじゃじゃん!(全員の決めポーズ)

あああああああああああああああああああああ;;;;;;;;;;;;;;(拍手)

 

 

 

 

 

松岡ナルトは原作よりもリアルな男の子で、下品でバカだけどよく考えて動いている子でした。最初にも言ったとおり、私は原作のナルトはあんまり好きじゃないのですが、ナルステのナルトは松岡さんと一緒に、そして観客と一緒に毎回毎回成長をしていってくれる、リアルだけど親しみのある人だから、愛してる。

最近の少年漫画の主人公って、わけわかんないくらい頑張って、そのパワーでみんなを引っ張ってくれるんですけど、そういう意味では松岡さんも主人公だなと思います。

似たような意味で、ナルステの松岡ナルトは本能で感じ取っているのかわからないけれど、「こう行動するのが最善である」ということを分かっているような動きをしているように感じるときがあります。ワンピースのルフィとかもそういう表現をされていたなあと思います*4。まるで、ナルトという“役割“を知っているかのような。

 

行動が直線的で短絡的なのはそれが一番手っ取り早いから。

サスケとの戦いの中で「お前は一体何なんだ!」と聞かれて「友達だ!」と答える。話が通じない、けど、ナルトにとって、恐らくサスケにとってもそれが正解だから。

サスケとの戦いの最後、千鳥と螺旋丸を撃ちあうときサスケくんは「これまでの闘いを」ナルトは「これからは」と、お互いに見ている方向が過去と未来、異なっているから。

 

私はナルトが嫌いだけど、尊敬するし応援したくなる。

松岡ナルトに対する私の雑然とした感想でした。

*1:須賀健太さん演じる我愛羅の略。

*2:吊り下げた紅い布を使った空中演技。イタチ役の方はまだ分かっていませんが(初演では正宗雄太さん)、声はミズキ先生役もやっていらした高橋理央さん、セクシーです。

*3:オープニングダンスでは地面割るポーズが取り入れられておりとてもカッコイイ。

*4:第425話。